プラダ財布メ ンズ 二つ 折り
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null 道にはりだしている木の枝《えだ》を、するすると身《み》をかわしながらよけて、みるみる小さくなっていくバルサの姿《すがた》を、サイソとトキは、目をまるくしてみおくった。 「……よくあんなふうに身体《からだ》がうごくもんだ。」  サイソがつぶやいた。  すご腕《うで》の用心棒《ようじんぼう》がいて、山越《やまご》えをさせてくれるという噂《うわさ》をきいたとき、ごつい中年《ちゅうねん》の武人《ぶじん》を想像《そうぞう》していたサイソは、商人宿《しょうにんやど》でバルサにあって、おどろいた。  バルサが、三十なかばくらいの女だったからだ。あぶら気のない黒髪《くろかみ》をうなじでひと束《たば》にたばね、よく日にやけている。女にしては背《せ》が高いほうだったが、大女というわけでもない。  ただ、かたわらにおいてある短槍《たんそう》は、つかいこまれて、黒檀《こくたん》のようにひかっていた。  こんな女に自分と妻子《さいし》の命《いのち》をあずけていいのか不安《ふあん》だったが、商人宿《しょうにんやど》に出入《でい》りしている、いかにも手《て》ごわい雰囲気《ふんいき》の用心棒《ようじんぼう》たちが、バルサにあうと、無言《むごん》で敬意《けいい》をはらうようすをみているうちに、評判《ひょうばん》を信《しん》じてみる気になった。 「……サイソさん。」  声をかけられて、サイソはとびあがりそうになった。考えごとをしていたとはいえ、バルサが、いつのまにもどってきたのか、まったく、気づかなかったのだ。  わずかのあいだに寝《ね》こんでしまって、母にもたれて寝息《ねいき》をたてていたライが、びくっと身体《からだ》をふるわせて目をさました。  うす闇《やみ》が山をおおい、近くにいても、もうバルサの顔もさだかにみえなくなっている。 「やはり、見張《みは》りの兵士《へいし》たちがいます。」  サイソとトキの顔がこわばった。バルサはつづけた。 「ありがたいのは、兵士が三人だけだということです。野営天幕《やえいてんまく》の大きさからしても、それ以上《いじょう》はいないでしょう。三人なら、なんとかなると思いますが、ひとりでも腕《うで》の立つやつがいたら、全員《ぜんいん》が無傷《むきず》で突破《とっぱ》するのはむずかしいかもしれない。」  そういってから、バルサは、じっとサイソとトキをみつめた。 「どうしますか。……いきますか。ひきかえしますか。」  いつタルシュ軍《ぐん》が攻《せ》めてくるかわからぬ故郷《こきょう》。そこに、命《いのち》がけでかえるか。それとも、ここでひきかえして、戦乱《せんらん》がしずまるまで、ロタですごすか……。