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ルイヴィトンダミエグラフィットジッピーウォレット編集

[ルイヴィトン]LOUIS VUITTON ダミエ グラフィット ジッピーウオレット・ヴェルティカル N63095 [並行輸入品]
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[ルイヴィトン]LOUIS VUITTON ダミエ グラフィット ジッピーウオレット・ヴェルティカル N63095 [並行輸入品] 
 赤ん坊の名は由佳と付けた。出生届はママが出してきてくれた。退院してもあたしはすぐには晋のところへ戻らず、だらだらと実家で暮らし、時折近藤に電話をした。晋はときどき来ては赤ん坊を不思議な顔で見つめていた。まだ実感は涌《わ》かないようだった。相変わらず「オレもオヤジになったんだからこれからは……」と公約だけは並べていたが、あたしは聞き流していた。ママは「ああ見えても晋さん、もうとっくに由佳にはまってるよ。これから会社から帰って来る度に寝てるのを起こしたりして大変だよもう」と言っていたが、あたしにはそうは見えなかった。ときどき晋は、ほんとのことも言っているのかも知れないなと思うことがある。由佳のためにこうする、ああすると果てしなく並べている約束のうちの二つ三つは本気で守る気なのかもしれない。でもどれが本物の約束なのか推測する気はあたしにはもうない。  あたしが晋のもとへ帰ると、トイレのペーパーが三角に折ってあった。部屋は嫌味なくらいに綺麗《きれい》だし、冷凍庫には手の込んだシチューやミートソースが並んでいる。 「なんか会社のやつらがぞろぞろ世話焼きに来てくれてさ。あ、蒲田とか近藤とか。女の子は掃除して冷凍もん分けてくれるし、助かっちった」 「へえ、良かったね」  あたしは洗面所の脱衣かごにベージュのパンティがわざと放り込んであるのをもうとっくに発見していたが、黙っていた。しばらくして、洗面所に行った晋が「うおっ」と声を上げるのが聞こえてきた。 「どうしたの?」 「うん。ゴキブリ」  確かに嫌なものを見た顔になっていた。 「ベージュの?」  あたしは聞こえるか聞こえないかくらいの声で言った。 「えっ?」 「ううん、何も言ってないよ。ねー、由佳ちゃん」  由佳は嬉《うれ》しそうににこにこしていた。そしてその夜、初めて声を立てて笑った。  ママのいない部屋での育児は大変だった。晋は、気が向くと由佳をお風呂《ふろ》に入れてくれたり、おむつもかえてくれるが、たいがいは、「なあーメシまだ?」と不機嫌そうにしていた。由佳のことは可愛《かわい》くてしかたないらしいが、めんどくさい世話はあまりしたくないのらしい。とくにうんちのおむつは見たくもないらしく、それらしい臭いがするとあたしに知らせもしないでトイレに逃げてしまう。 「一言声かけるくらいしてくれたっていいじゃないの!」と言うと、「だっておまえ、すきがあればオレにやらせようと思ってるだろ。一回でもやればこっちのもんだと思ってるもんね」とすねた子どものようにあたしを指さした。
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