買ってグッチ何に注意して_プラダ斜め掛けバッグ|「図」_グッチ良いで Baoturbo


2015-02-04 02:15    グッチ
 テーブルにはカレーライスの皿が載っている。そばにはちぎったレタスに市販のドレッシングをかけただけのサラダのボウルがある。それが今夜の夕食のすべてだった。  食欲はまったくなかった。だがいつものように田島は、狭いキッチンのテーブルに座り、黙々と食事をした。隣では明子がテレビに見入りながら番茶をすすっている。 「きょうは……何か変わったことはあったか?」  妻の横顔に田島は言った。もし田島が口を開かなければ、今夜もいつものように、ふたりのあいだには一言の会話もないままだっただろう。 「……別に」  テレビに目をやったまま明子が答えた。 「純一《じゆんいち》は……部屋にいるのか?」  明子は無言だったが、それはきくまでもないことだった。この4年間、長男の純一は2階の自室に籠《こ》もったままだった。 「克美《かつみ》は……帰ってるのか?」  明子はやはり無言だった。だがそれもまた、きくまでもないことだった。まだ高校2年だというのに、どぎつく化粧し、髪を金色に染めた克美が10時前に帰宅することなどあり得なかった。一晩中戻らないことも稀《まれ》ではなかった。 「……いや……実は……」  田島はそこで言い淀《よど》んだ。明子が振り向き、「どうしたの?」と聞き返してくるのを待った。だが、明子は何も言わずにテレビのバラエティ番組を見ていた。 「おい……明子、実は……」  妻が面倒臭そうに顔を向けた。田島はその顔に思わずたじろいだ。妻の顔が、電車の中で偶然隣り合わせただけの、会ったこともない中年女に見えたからだ。  田島よりふたつ年上の明子は52歳だったが、その顔はそれよりさらに老けて、疲れ切って見えた。肉に潰《つぶ》されそうな細い目、毛穴の開いただんごっ鼻、厚くて荒れた唇、弛《ゆる》んで垂れ下がった頬、たっぷりと脂肪の溜まった顎《あご》……。かつて自分がほんのひとときでもこの女を欲したことがあった、という事実が信じられなかった。 「いや……何でもない」  田島は言うのをやめた。次の瞬間には、妻の視線はもうテレビの画面に戻っていた。  田島は無言で、レトルトに違いないカレーライスを口に運び続けた。そして、今朝、門の脇の郵便ポストに投げ込んであった手紙と、コインロッカーの中のアタッシェケースの上にあった手紙のことを考えた。