シャネル長財布ラウンドファスナ ー
null
nullけむりのなかに、 霧のなかに、 うれひをなげすてる香料の墓場、 幻想をはらむ香料の墓場、 その墓場には鳥の生《い》き羽《ばね》のやうに亡骸《なきがら》の言葉がにほつてゐる。 香料の肌のぬくみ、 香料の骨のきしめき、 香料の息のときめき、 香料のうぶ毛のなまめき、 香料の物言ひぶりのあだつぽさ、 香料の身振りのながしめ、 香料の髪のふくらみ、 香料の眼にたまる有情《うじやう》の涙、 雨のやうにとつぷりと濡れた香料の墓場から、 いろめくさまざまの姿はあらはれ、 すたれゆく生物《いきもの》のほのほはもえたち、 出家した女の移り香をただよはせ、 過去へとびさる小鳥の羽《はね》をつらぬく。